死は救済

a〜a

 

消してしまいたい記憶をわざわざ辿っていく。

淡い思い出たちの片鱗が脳をチラついてぐるぐると心をぐちゃぐちゃに蹂躙していく。

幸せだったことが間違いだったなんて思いたくなかった、こんな思いをするのなら出会わなければよかったのに。写真のなかの彼も私もなにも知らずに笑っている。恋も愛も呪いでしかない。

間違いのない暴力や暴言や放置やそれら全ての辛いつらい苦しい記憶と、証拠と、鮮明なイメージが脳の中でジタバタともがいている、同時にこんなに楽しかったじゃない、愛し合っていたじゃないのと相反する感情が心をズタズタに引き裂けてしまった心の生傷を開き、裂き、焼く。

痛みにもがくのは自分だけなんだろうと思うともうこんな思いをするのならいっそ消えてしまいたいんだよと叫びたくなる。はやく楽になりたいという気持ちが先行していっそのこと死んで状況をめちゃくちゃにしてしまおうか、とすら願ってしまう。なにも変わるわけはないのに。現状を打破するためにこの選択をしたのは自分だろう。ギリギリギリギリと心臓から嫌な音がするイメージ。

臓腑を全部口から吐き出して洗いたい。涙なんかでないように涙腺を塞ぎたい。感情なんてなくなるように脳を弄ってしまいたい。

それでもやるしかない。日々は無情にも私たちを待つことはない。来る日、わたしは彼の罪を暴き、裁くことができるだろうか。裁くだけで納めることができるのだろうか?

頸動脈を引きちぎってしまいたい。なにもわからなくなりたい。早く殺してほしい。

 

プィーン